現在、保険診療と保険外診療が併用される場合、全ての費用が保険対象外となる。しかし、今年国会で可決された医療制度改革法案では、保険外併用療養制度が新設され、保険診療と保険外診療の併用が認められる「混合診療」が一部解禁される。こうした流れが進めば、医療現場での健康食品利用がさらに増えることも考えられる。長年、代替医療に携わる医師に、医療と健康食品の関わりについてシリーズで聞いていく。
今回から3回は、土佐清水病院(高知県土佐清水市)院長の丹羽靭負(耕三)氏。丹羽氏は、大豆やハトムギ、ゴマなどを焙煎・発酵・油剤化した健康食品(『丹羽SOD様食品』)を開発し、それを自身の治療に取り入れている。
そもそも、健康保険制度は、厚労省が認可した薬だけを使って治療にあたるため、病気ごとに治療法・薬が決まりきったものになってしまう傾向にある。
一方、私の行う自由診療では、万が一、薬害などが起ったときに自分で責任を負わなければならない反面、自分の裁量する幅が広がり、理想の治療に向かって努力できる。ただ、自由診療では、保険対象の検査費用なども全て患者の自己負担であるため、経済的負担が大きいという問題がある。例えば、進行がん、末期がんの患者が抗がん剤の副作用で苦しみながら死んでいく治療では保険が利用でき、患者が安らかな最後を迎えるための治療には保険は対象外となる。これは大きな矛盾といえる。この保険制度のあり方に異を唱えたことで、異端視され、かなりの同業者から批判を受けた。
しかし、時代は変わりつつある。かつて、患者は医師の治療方針に従うのが当たり前であったが、「インフォームド・コンセント」、つまり、患者が自分の病気と医療行為について知り、治療方法を自ら決める権利を持つことに対して認識が広まっている。そのため、画一的な保険治療に疑問を持つ患者が増えてきた。
それを受けて、医師の意識も変わった。医師が鍼灸や温熱療法に関心を持つようになったり、入院食として健康食品を利用したり、アドバイスという形で健康食品を勧めるケースなども増えてきているのはその現れといえるだろう。
(次号に続く)
*丹羽靭負(耕三)氏の病院等に関する問い合わせは日本SOD研究会(03-5787-3498)まで。