インタビュー:ジェナー動物クリニック・長瀬雅之院長
「ペットサプリに安全基準を!」
ペットサプリメントのコアマーケットである動物病院ルート。
獣医からペットサプリメントの現状と課題について、ジェナー動物クリニックの長瀬雅之院長に聞いた。
- ペットサプリメントのニーズは?
- 長寿化に伴い、ペットも生活習慣病や関節炎、がんなどに悩まされている。最近、家族同様に考え、ペットの健康な生活を願う飼い主の比率が確実に増えてきている。そのため、ニーズは確実にある。あくまで個人的感想だが、1~
2 割程度だと思われる。ただ、一流メーカーのペットフードでさえ、健康に害があるだろう物質の混入が問題になる現状では、サプリメントでも飼い主のニーズに応えられるものはまだまだ少ないといわざるを得ない。
- 獣医師との関係は?
- 利用目的の上位は①がん予防、②白内障予防、③関節炎対策で、ほとんどが予防目的である。サプリメントは飼い主の意思で利用されるべきもの。場合によっては医薬品に頼らず、利用してもいいと思う。そしてペットの健康状態によっては、サプリメントの利用に際して、獣医師が利用を指導したほうがいい場合もあるだろう。ただ、ペットサプリメントについて十分な理解と知識を有する獣医師はまだまだ少なく、頭ごなしに利用を否定する場合も多々見られる。私の場合、サプリメントはアトピーやがん、膠原病など慢性かつ難治性の疾病の治療では利用しているが、急性期の病気には使わない。そこは従来の医療とバランスが取れていなければならない。
- エビデンス(EBM)について
- 評価方法やコスト的な問題で臨床治験をとるのは意外にも難しいものがある。その理由は、サプリメントの多くは化学的薬物ではないため、即時的効能が見られず、医薬品で実施されてきた評価方法では効能判定ができないことがまず挙げられる。明らかなEBMがなくても、副作用がなく、かつ臨床的に何らかの効果があれば、利用していいと考える。ただ、米国の獣医学では明確なEBMを重視するため、米国獣医学を絶対とする大部分の日本の獣医師でも、同様に考える人は間違いなく多い。しかし、臨床における有効性・副作用の有無という観点をベースにデータを蓄積することが、EBMにつながると考えている。もちろん、評価する獣医師がその効能を客観的に評価できるという前提がある。獣医師が日常の臨床に利用してその効能を見出す。次にどのように試験を組み立てれば、その有効性を科学的に立証できるのかというプロセスが、次のステージだと考える。
- 開発メーカーに求めるものは
- 参入に際しては人間用と動物用、そして、犬用と猫用ときちんと分けて考えていただきたい。猫と犬では生理機能に大きな違いがある。きちんと各動物の生理を知った上で開発すべきである。そして、品質問題にも力を入れて欲しい。ペットの食環境は劣悪だといわざるを得ない。ペットフードのリコール問題では農薬残留、サルモネラ菌感染が指摘されたが、その背景には動物用だからという軽視感がある。ペットサプリでも人間の食品に準じた安全基準を設けることを業界の方々に意識してもらいたい。
健康産業新聞[SOD様作用食品特集記事]トップヘ
*丹羽靭負(耕三)氏の病院等に関する問い合わせは日本SOD研究会(03-5787-3498)まで。