過酸化脂質とは
活性酸素と脂質からできる過酸化脂質が生体に悪影響。丹羽靱負(耕三)・土佐清水病院長:「激増 活性酸素が死を招く」(日本テレビ出版刊)から引用
活性酸素は、細胞の核のDNAを傷つけ、発がんや奇形などの直接的な原因になりますが、食物中の不飽和脂肪酸や血液中のLDLコレステロールと活性酸素が反応してできる過酸化脂質が臓器障害やシミ・シワ・皮膚がんの原因になることが問題となります。
- 細胞を傷つけ破壊する過酸化脂質
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摂取された飲食物に含まれるコレステロール(特にLDLコレステロール)の中の不飽和脂肪酸が活性酸素と結びつき、過酸化脂質となります。
活性酸素は、菌や異物を溶かす非常に強力なものですが、生体でできても、すぐに消失してしまうのに反し、
- 過酸化脂質の害は活性酸素より大きい!
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過酸化脂質は、菌や異物・組織に対する反応はあまり強くありませんが、腎臓から排出されず、いつまでも身体の中にとどまり、徐々に組織や臓器や細胞の外側から内部に向ってじっくりと浸透していって、細胞を傷付け破壊していきます。
従って、活性酸素の生体での実際の害は、活性酸素そのものによるよりも、むしろ活性酸素が脂質と反応してできた過酸化脂質が害を及ぼしているのであろうと考えられています。
- 食事により体内に入る過酸化脂質
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食物中の分子構造が不安定な不飽和脂肪酸と活性酸素が結びつき、組織を傷害する過酸化脂質ができます。不飽和脂肪酸は植物油や魚の脂肪に多く含有され、活性酸素によって酸化されて過酸化脂質になります。
また、バターの表面の黄色い部分は空気中の酸素が、バターの表面の不飽和脂肪酸と結合して過酸化脂質になったもので、これらの摂取が問題となります。
- 過酸化脂質が血流悪化や血管を脆くする
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血液中の不飽和脂肪酸が活性酸素と結びつき、過酸化脂質となります。この過酸化脂質は組織を障害するのはもちろんですが、血管を障害することが問題です。
この過酸化脂質は、血管壁に付着する性質が強く、血管壁に付着して血管の内腔を狭くして血流を悪くしたり、血管壁に浸透して血管壁を脆くします。
その結果、血流が悪くなれば狭心症や脳梗塞などの原因となり、血管壁が脆くなれば脳出血などの原因となります。