先にふだんの呼吸で活性酸素が発生するといいましたが、この程度の活性酸素なら、体の防御機構が働いて、なんとか処理してくれるので、はとんど問題にはなりません。ただし、次のような場合、通常の体の処理能力では対処できない量の活性酸素が局部的に発生し、さまぎまな障害を引き起こす可能性が高くなります。
私たちは、「活性酸素の発生源が極めて多い」という事実にまず気がつくことが大切です。そうしなければ、私たちはいつ活性酸素の巧妙なワナにはまるか、わからないでしょう。
活性酸素産生因子の分類 | |
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スポーツなとで、大量の酸素を消費したとき | 例えば、ふだんの呼吸で発生する活性酸素は消費する酸素の2%にすぎません。ところが、過激なスポーツをして、ふだん呼吸している酸素量の10倍を使うと、2%の10倍の大量の活性酸素がワッと発生してくることになります。 |
放射線や太陽紫外線を浴びたとき | |
自動車の排気ガスを吸ったとき | 細胞の核のDNAでOH・を発生する(強力な活性酸素(OH・)は遺伝子DNAを傷つけ、発がんや奇形を招聘する) |
超音波にさらされたとき | |
タバコを吸ったとき | タバコの煙の中には、活性酸素がたくさん充満しているのですが、煙に含まれる反応性に富んだ物質が肺の奥探くへ入っていき、肺の細胞の表面につくと、そこでまたたくさんの活性酸素が発生してきます。 |
アルコールを飲んだとき | アルコールも、体内で分解される過程で活性酸素を生じます。 |
体内に病原菌が最入したりして、過度の灸症を起こしたとき | 血液成分の白血球は、体内に侵入した病原菌を攻撃し、これを殺すために活性酸素を放出します。この限りにおいては、活性酸素は善玉といつてもいいでしょう。 しかし、それが過度になってしまうと、大量の活性酸素が作られてしまいます。 |
ある種の制がん剤を服用・投与されたとき | |
血液の流れが一時的に途絶え(虚血)、再び元どおりに流れるとき(再還流) |
外科手術:虚血・再還流にともなって生じる活性酸素は、実は外科手術でも大きな 問題になっています。 例えば、手術のさいには、一時的に局部の血流を止め、終了後 には血流が元どおりになりますが、このときに活性酸素が発生して、注意をしないと、手術が成功したにもかかわらず、新たな障害を引き起こしてしまうからです。 スポーツ:虚血・再還流は、スポーツでも起ります。走る、投げる、飛ぶといった 激しい動作は、筋肉に血液を集中させ、消化器や性殖器などの臓器に血液が行かなくなる虚血状態を生み出し、スポーツを終えた後にその血液が臓器に再還流します。 これは大量の活性酸素を発生させ、臓器などに障害をもたらす恐れがあります。 |
その他の発生源 | 私たちの身のまわりを見回すと、活性酸素を発生させる要因が至るところにあることに茫然とさせられます。 トイレの脱臭装置のオゾン、同じくトイレの殺菌灯、スーパーの魚や肉売り場の投菌灯、日焼けサロンの太陽灯など。 |