ストレスで好中球増加、胃潰瘍の原因に
新潟大医学部医動物学教室:日本経済新聞(95-11-24)から引用
- ストレスで活性酸素が発生、潰瘍状態に
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マウスやラットに肉体的拘束などのストレスを加えると、体内に白血球の一種の好中球が増加、組織を侵す作用がある活性酸素が多量に発生し、胃粘膜がただれて胃かいよう状態になることが、新潟大医学部医動物学教室の塚原明弘、諸田哲也両研究員らの研究でわかった。
ストレスが胃潰瘍の原因となることは知られているが、発病の仕組みはよく分かっておらず、予防や治療法開発につながる研究として注目されそうだ。研究成果は28日から福岡市で開かれる免疫学会で発表する。
- 好中球は増えすぎると自分の組織を破壊
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塚原研究員らはマウスとラットに強いストレスを与え、血液や内蔵の白血球や組織の様子を調べた。すると好中球が増加し、好中球が作ったとみられる活性酸素の量も増加した。
また、胃の粘膜は、肉眼で見ても分かるほど荒れていた。好中球は体内に侵入した病原体を殺す働きを持っているが、増えすぎると自分の組織を破壊する作用がある。
塚原研究員らは今後は好中球を抑える作用がある抗体をラットに投与して、胃かいよう防止の効果を調べる。
- 好中球とは
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白血球の一種で体内に入った病原菌に対し活性酸素を出して殺す働きを持つ。同じ白血球のリンパ球とともに免疫作用で大きな役割を果たし、ストレスや過労で交感神経が緊張すると増加する。
一方飽食などを続けると好中球の割合が減少して、リンパ球が増加、花粉症などのアレルギーが出やすくなるとされる。