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最近、健康の鍵を握る物質として“活性酸素”と“SOD”の役割がクローズアップされてきました。そして、“活性酸素”が体内で増加すると、がんや成人病を始め、種々の弊害や疾病を引き起こすことがここ数年の間で明らかになってきました。当サイトでは、活性酸素の作用、障害、除去について丹羽靭負(耕三)博士の著書を中心に、出版物、学会誌、各種新聞などの公的な資料をもとにまとめて公開しております。

糖尿病の基礎知識③ 糖尿病による神経・血管障害

松岡健平・東京都済生会中央病院内科医長 :「糖尿病で血管に障害が出るとき」(日本放送協会)から引用

糖尿病で怖いのは、不可逆性の血管障害や神経障害を招くことです。神経や血管が長期間の間に多くの障害を起こします。
良く知られているのは、糖尿病性白内障や壊疽などですが、それ以外にもさまざまな障害を生じますが、それらの障害を整理してみましょう。

糖尿病による血管障害

高血糖が直接原因となる網膜症と腎症
高血糖が直接原因となって起きるのは、網膜症(眼底出血)と腎症(尿毒症)です。 この二つは、細小血管症と呼ばれ、毛細血管など細い血管に障害が生じて起きます。
この血管障害は、血液中にブドウ糖が大量になり、血管の内側に付着、壁を厚くしたり、詰まらせたりします。
  • 網膜症(眼底出血)
    • 網膜症になると、最悪の場合には失明します。本症により、年間5000個もの眼が光を失っています。
      本症は、ある時点で、急に悪化することが多く、これは眼底の細小血管が大出血することや網膜剥離により起こります。
      糖尿病にかかった場合には、糖尿病による網膜症の眼底検査に慣れている眼科医で、定期的な検査をしましょう。
  • 腎症(尿毒症)
    • 腎症になると、尿毒症になって生命に危険を生じたり、人工透析が必要になります。
      本症では年間3500人もの人が人工透析を必要とするようになっています。 腎症は、血液を濾過して尿をつくる役目の腎臓の膜の血管が障害されて起こります。
      腎臓の機能がうまく働かなくなり、その結果、尿毒症になってしまうのです。
糖尿病性の動脈硬化による血管系病変
糖尿病では、細小血管以外に太い血管でも、脳卒中・心筋梗塞・下肢動脈閉塞(脱疽)などを発症します。
高血糖状態が続くと、血液の成分である血小板が凝縮しやすくなり、これが太い血管の壁について固くなったり、太い血管に栄養を送りこむ細小血管に障害が起きるために、その機能が落ちるなどの影響があります。
つまり、直接の原因にはならなくても、糖尿病は動脈硬化を促進させる因子になっているのです。事実、糖尿病の忠者さんが脳卒中や心筋梗塞になる割合は、健康な人の、2~4倍にものぼっています。
※編者コメント:最近では、インスリン過剰が動脈硬化を促進する、といわれています。

糖尿病による神経障害

糖尿病の慢性合併症として、神経障害が発症する
高血糖状態が長期間続くと、慢性合併症である神経障害が生じ、障害は右図のようにほとんど全身に現れます。
糖尿病になると神経が侵されるのは、神経細胞が高血糖にさらされ、神経細胞の代謝に異常をきたすためです。そのため、神経の伝導がうまく働かず、体中のさまざまな部分に異常が生じるわけです。
神経には、自覚できる知覚神経、運動神経のほか、内臓にめぐらされ、自覚できない自律神経があります。高血糖では、どの神経も侵され、知覚障害のほか、内臓の動きが鈍くなることがあります。
  • 立ちくらみ(起立性低血圧)
    • 起立時、極端に低血圧になるために起こります。意識を失うこともあります。倒れる際に頭部などを打撲する危険もあります。
  • 眼筋麻痺
    • 眼球を動かす筋が麻痺すし、眼球が動かず、視野が狭くなります。
  • 顔面神経麻痺
    • 顔面の筋が下垂し、動かなくなります。味覚障害を伴います。無痛性心筋梗塞:知覚神経が鈍くなり、狭心症や心筋梗塞の痛みを感じません。
  • 胃無力症
    • 胃の働きが悪くなり、消化吸収のリズムが狂います。そこで、インシュリン投与に注意が必要となります。
  • 膀胱障害
    • 尿がたまっても感じないため、膀胱に尿がたまります。尿の出が悪くなり、排尿に時間がかかります。
  • インポテンス
    • 陽不起
  • 便秘・下痢
    • 自律神経障害の結果、胃や腸の働きが悪くなるため、発症します。
  • 尿路感染症
    • 排尿しても膀胱に残尿が多くなるため、膀胱炎や腎孟炎などにかかりやすくなります。
  • こむらがえり
    • こむらがえりは運動中よりも、運動後や就寝中に起こります。
  • しびれ感
    • 神経痛とまちがえやすいようです。
  • 疼痛
    • 松葉の先で刺すような痛みがあることもあります。
  • 知覚鈍麻
    • さらにひどくなると、その痛みすらも感じなくなります。
  • 足の潰瘍・壊疽
    • 痛みがないので、ケガをしても放置するため、化膿したり、足が変形しても気づかないこともあります。

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