糖尿病も活性酸素の仕業か
酒井豊・防衛医科大学名誉教授監修「老化・がん・成人病の原因!?活性酸素は、こうして防ぐ」(小学館)から引用
熟年期の糖尿病は、インシュリンの分泌力の弱まりが原因
糖尿病には、若いときにもかかるものと、熟年期になると発病するものとに大きく分けることができます。
若いときに発病する糖尿病は、膵臓にあるインシュリンというホルモンを分泌するランゲルハンス島の細胞に障害がおきて、インシュリンが分泌されなくなってしまつた糖尿病で、これはインシュリンを常に外から供給してやらなければなりません。
一方、熟年期になってかかる糖尿病はインシュリンの分泌が弱まりおきるもので、早期に発見されれば、食事のコントロールで悪化を防ぐことができます。
ここでは、熟年期におきる糖尿病について、活性酸素との かかわり合いを探ってみることとしましょう。
糖尿病患者の血中にはSODやビタミンEが少ない
最近、糖尿病と活性酸素とのかかわり合いも話題となってきました。蛋白質が糖と結びついたものを糖化蛋白といいますが、糖尿病ではこの糖化蛋白が増加します。
- 糖尿病の糖化蛋白は活性酸素の発生源!
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糖尿病はもともと血中の糖の値が高いのが特徴で、こうした糖化蛋白が増加する傾向があるようです。
悪いことに糖化蛋白は活性酸素の発生源で、これがもとになって酸化がおこり、血管の障害につながるのではないかと考えられるようになってきました。
- 糖尿病患者の血中には過酸化脂質が多い
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糖尿病の患者の血液の中には過酸化脂質が多く、こうした糖化蛋白と過酸化脂質の因果関係はまだ立証されてはいませんが、たいへん興味深い現象です。
- 血液中には、SODやビタミンEが少ない
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たしかに、糖尿病患者の血中にはSODやビタミンEが少ないことが観察されていて、(糖尿病患者では)こうした酸化防止物質が多く消費されていることを裏書ききしています。
*編者コメント:以上をまとめれば、次のようです。糖尿病患者は、糖化蛋白の増加で、活性酸素や過酸化脂質の産生が促進されます。これらの活性酸素や過酸化脂質は血管や臓器を傷害しますが、これを除去するために、体内の酵素SODが動員された結果、体内のSODが減少します。
体内のSODの減少を補い、血管や臓器を傷害を予防するものとして、SOD様作用食品があります。
活性酸素と糖尿病の関係は、次第に明確化
糖尿病は、様々な合併症をともないます。その一番怖いのは血管の障害で、特に腎臓、網膜といった毛細血管の多く集まっているところに異常がでやすいのが特徴です。
これも活性酸素との関係がどの程度あるのかは今後の研究にまたなければなりませんが、その関係は濃厚になってきました。
- 活性酸素を出す糖化蛋白は老化にも関係
- (活性酸素を発生する)糖化蛋白は糖尿病になると増加が促進されますが、必ずしも糖尿病でなくとも、年とともに少しすつ増えていくものです。したがって、老化とも深い関係があるようです。
さらに、インシュリンを分泌する膵臓のβ細胞は活性酸素を消去する抗酸化システムが手薄なところにあるために、活性酸素の攻撃を十分に防ぎきれないという問題があります。
糖尿病も活性酸素が関与しているということですから、糖尿病の食事療法をいっそう正しく守ることで、血糖値を安定させることが病気を悪化させないことになりますし、家系的に糖尿病の可能性の高い人は若いうちから食事には注意をしておくことです。