ウィルス性肝炎の種類
小俣政男・東京大学教授著「肝炎と肝臓がんの関係」(日本放送出版協会)から引用
肝炎ウイルスの種類については、不明な点が多く、現在は、A~G型までが、時折、新聞などで報道されているようです。ウィルスの鑑別方法が確定すれば、更に多くの肝炎ウイルスが発見される ものと思われます。
A型肝炎ウイルスは飲食物による経口感染で、抗体ができ再発や慢性化はなく、肝硬変や肝臓がんへの以降もありません。また、D型とE型は日本では稀です。
このため、以下のB型&C型肝炎ウイルスの感染が問題となります。
なお、G型は、最近、日赤の輸血用血液が汚染されていたことで、知られるようになりましたが、未だ、詳細な解明にはいたっていないようです。
B型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルスによる感染には、病像が異なる、母子感染と成人感染があります。
- 母子感染によるB型肝炎ウイルス
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B型肝炎ウイルスによって発症する慢性肝炎や肝臓がんは、ほとんどが母子感染によるものです。
- 感染経路:血液(出産時)
- 急性肝炎:発症する(85%はキャリアになる)
- 劇症肝炎:急性から移行(急性肝炎の1~2%)
- 慢性肝炎:移行(10%、HBs抗原&HBe抗原が+の場合)
- 肝硬変:発症する
- 肝臓がん:発症する(肝臓がんの11%がB型肝炎ウイルスにより、慢性肝炎から1年間に0.6%が肝臓がんに移行)
- 成人感染によるB型肝炎ウイルス
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成人感染では急性肝炎にはなりますが、体力などの低下の場合を除き、慢性肝炎への移行はありません。
- 感染経路:血液、性行為
- 急性肝炎:発症する(多くは1~2カ月で治癒)
- 劇症肝炎:稀に急性から移行
- 慢性肝炎:まずありません
- 肝硬変:まずありません
- 肝臓がん:まずありません
C型肝炎ウイルス
C型肝炎ウイルス感染で、問題は肝炎から肝臓がんへと一直接で繋がることです。
輸血による感染が多いようです(母子惑染は殆とありません)。
- 感染経路:血液(輸血:30~40%、刺青・覚醒剤など:10%)
- 急性肝炎:発症する(症状が軽度、無意識な進行が多い)
- 劇症肝炎:まず認められないようです
- 慢性肝炎:移行(60~80%の人が急性から移行する)
- 肝硬変:発症する(感染から、約25年で肝硬変に移行)
- 肝臓がん:発症する(肝臓がんの83%がC型肝炎ウイルスにより、肝炎罹患後約35年で発症。慢性肝炎から1年間に1.7%が肝臓がんに移行する)
※丹羽靭負(耕三)博士によれば、「C型肝炎の約9割(B型肝炎はその30~40%)が15年、20年で肝硬変になり、数年後死亡するか、あるいはがん化して死亡」するそうです。