C型肝炎は、肝臓以外の病気の引き金
心筋症の約2割はC型肝炎ウィルスが原因。最大原因です
松森昭・京都大病院講師:朝日新聞(97-09-30)から引用
肝臓がんの原因として注目されているC型肝炎ウィルスが、心臓の筋肉の異常で、重症になると心臓移植でしか助からない心筋症の有力原因であることが分かった。
- C型肝炎ウィルスは肝臓以外の病気を引き起こすこともある
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30日に東京で開かれる特発性心筋症国際シンポジウムで京都大グループが発表する。
型肝炎ウィルスは最近、肝臓以外の病気の引き金である可能性を示す事実がいくつも見つかり、注目を集めている。
この事実を突き止めたのは京都大病院第三内科(篠山重威教授)の松森昭講師。
- 心筋症は拡張型と肥大型の2種に大別
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心筋症は心臓の壁が薄くなって大きく広がる拡張型と、壁が厚くなる肥大型に大別される。
大半は原因が不明で、拡張型ではかぜによく似た症状の原因となるコクサッキーウィルスが有力原因とみられていた。
- 拡張型心筋症の17%がC型肝炎の抗体陽性
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根森さんは、1991年、腎臓病で入院中の患者が拡張型心節症になり、C型肝炎陽性と分かったため、保存してあった拡張型心筋症患者31人の心筋細胞中のウィルス遺伝子を詳しく調べてみた。
見つかったウィルスは二つだけで、C型肝炎ウイルスが6人(19%)、コクサッキーウィルスは1人(3%)だった。
さらに患者36人の血液を調べたところ、6人(17%)がC型肝炎に感染したこと示す抗体陽性だった。
- 肥大型心筋症の27%がC型肝炎の抗体陽性
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一方、遺伝が最も多いとみられていた肥大型心筋症患者でも53人中9人(27%)が抗体陽性だった。
松森さんによると、心筋症患者に肝炎症状はあまりなく、ウィルスの細かなタイプが違っている可能性も。
「心筋症の2割ほどはC型肝炎ウィルスが原因。最大原因であることは間違いない」と結論づけている。