慢性肝炎治療薬による副作用
「肝炎治療薬」といえば、誰でも、肝炎の治療に有効な薬剤だと考えますが、服薬量・服薬期間などにより、副作用を生じることもあります。
また、最近、信頼性が問題になっている治験薬(試験薬)でも、副作用の問題が出ています。
「お医者さんが処方してくれた薬だから安全」と鵜呑みにするだけでなく、薬に服薬中は、体調の変化などを医師に相談するとともに、その薬の副作用なども自分で調べるようにしたいものです。
以下は、「肝炎治療薬」による「肝臓障害」の新聞記事です。
肝炎新薬で2人副作用死
慢性肝炎が急性増悪、28人発症、警告情報遅れる
厚生省中央薬事審議会副作用調査会:朝日新聞(95-04-08)から引用
B型肝炎の治療薬の投与を受けた患者のうち28人が副作用を起こし、うち2人が死亡、1人が重症になっていたことがわかり、厚生省の中央薬事審議会副作用調査会は7日、添付文書に警告欄を設けて注意を促すよう指示した。
- 承認されたばかりの新薬に副作用が発生、注意の喚起がなされず
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昨年夏に承認されたばかりの新薬で、副作用の症例としては、肝機能を測るGOT、GPTの値が急上昇する肝機能障害を起こし、黄疸の症状が現れている。
昨年11月までに10例以上の副作用が報告されていたのに、(厚生省からは)医療機関にはこの日まで、具体的な注意喚起はなされなかった。
三和化学研究所(本社・名古屋市)が製造し、山之内製薬(本社・東京)とともに販売している医薬品「セロシオンカプセル10」で、昨年七月に承認を得て、8月末に販売を開始している。
- 投与期間が9日から3カ月間で副作用が発生
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発売直後の昨年9月10日に投与を始めた宮崎県の男性(48)が同19日(投与期間9日間)に黄痘にかかり、投与を中止したが、10月1日に死亡した。
さらに、11月には約3カ月間服用を続けた患者が黄疸で重症になり、今年2月末には、途中まで服用を続けていた患者が死亡した。
このほか、25人の患者が服用後に副作用を起こしている。
- 死者が出た後での警告では、遅すぎる!
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このため、副作用調査会は、薬との因果関係は否定できないとして、添付文書の警告欄に「慢性肝炎が急性増悪することがあり、死亡例が報告されている」と記載したうえ、投与後2、4、6週目に肝機能検査をするよう医師に求める記載を加えることをメーカーに指示した。
発売直後から副作用が確認されたため、三和化学研究所は、昨年10月に全患者の追跡調査を実施しでいる。
この結果、GOTなどの値が異常に高い患者が40人にのぼり、添付文書の改定を進めていた。
B型肝炎治験薬でも副作用
11人が肝機能悪化、うち1人が投与中止後死亡
厚生省中央薬事審議会副作用調査会:朝日新聞(97-02-14)から引用
B型肝炎の治療薬として臨床試験(治験)中の抗ウイルス剤「ラミブジン」の投与を受けた患者が、投与中止後に肝機能が低下して11人が入院、うち1人が死亡していたことが13日、明らかになった。
※編者コメント:治験とは、新規に開発した薬(動物実験などでは有効で無害)を、人体を用いて、薬剤の有効性や副作用を実験するので、主に大学病院などで、患者の了解を得て行われます。
- エイズ治療薬を肝機能改良剤として治験
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この薬は国内で4番目のエイズ治療薬として14日に承認される予定だが、厚生省は「エイズ治療薬としての承認には問題はない」と話している。
B型肝炎の治療薬として治験を進めている日本グラクソ社(東京都渋谷区)によると、治験は1992年に始まり、95年4月から、全国40の医療機関で、290人を対象に長期投与(約1年間)の治験が始まった。
- 投与期間中は効果が認められたが、投与後に、肝機能が低下
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これまでの治験では、投与期間中はウイルスの増殖を強力に抑える効果が確認された。
しかし、昨年8月以降、投与を終えた患者11人の肝機能が再び低下。うち10人は自然に肝機能が回復したが、福岡県内の大学病院で治験を受けていた40歳の男性は、投与終了後2カ月目に急激に肝機能が低下し、昨年12月、肝不全で死亡したという。
同社は、副作用例を厚生省に報告するとともに、治験に参加している医師に患者の経過観察を十分に行うよう呼びかけた。