早期治療が必要な脳卒中
発症から6時間以内でなければ、治癒困難6時間以内に治療を受ける患者は、5割以下
秋田県立脳血管研究センター・国立循環器病センター:朝日新聞(98-06-25)から引用
日本人の死因第2位(1996年)を占める脳卒中の患者のうち、救命や後遺症を減らす効果が高い発症後6時問以内の治療を受ける人の割合が5割に満たないことが、秋田県立脳血管研究センター(秋田市)と国立循環器病センター(大阪府吹田市)の調査でわかった。
25日から札幌市で始まる日本脳卒中学会で報苫する。同学会は、国に全国規模の実態調査と、急性期医療の充実とを急ぐよう求める方針だ。
- 脳卒中を発症後すぐに病院へ行かないため、手当が遅れる
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同脳血管研究センターが、昨年9月から今年2月までの入院患者を調べたところ、発症から6時間以内に来院した人は49%で、3時間以内にしぼると36%だった。
救急車で運ばれた人は、発症から119番通報までが平均5時間半かかった。
意識がなくなるような重症患者はすぐに運びこまれるが、手足のしびれや軽い言語障害だと、しばらく様子をみるため来院が遅れるという。
また、同循環器病センターの調査でも91年から93年に、発症から1週間以内に入院した患者のうち、6時間以内の来院は34%、3時間以内となると16%しかいなかった。
- 脳卒中には、脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血があるが、早期治療が重要
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患者数が約170万人に上るといわれる脳卒中は、脳の血管がつまる脳梗塞、脳出血、脳を覆うクモ膜と軟膜との間にある血管が破裂するクモ膜下出血に分かれる。
いずれも早期治療が重要だが、脳卒中の6、7割を占める脳梗塞は、コンピューター断層診断(CT)や治療薬の向上で、発症から約6時問以内に治療すると後遺症が残らない患者が飛躍的に増えている。
今回の調査結果について、日本脳卒中学会の端和夫会長(札幌医大教授)は「脳卒中も早期に治療すれば、治ったり後遺症が軽く済んだりすることを国民に伝える必要がある。
一方で、医療側も早期治療体制を整備しなければならない」と話している。