活性酸素とがん① 活性酸素、発がんに関与
人体組織で確認 国立がんセンター&産業医科大学:朝日新聞(94-05-22)から引用
- 活性酸素が遺伝子に突然変異を起こして発がんの引き金に!
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C型肝炎などの慢性肝炎から肝臓がんへの移行を研究している国立がんセンター(東京)と産業医科大学(北九州市)は、活性酸素ががん抑制遺伝子などに突然変異を起こし、発がんの引き金になっている可能性が高いことを、人体組織での研究で突き止めた。
これまで、活性酸素の発がんへの関与を示す動物実験の例はあったが、人体組織では初めてという。
- 活性酸素は発がん・老化などに関与する
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活性酸素は、生体内の代謝や放射線、薬などで不安定な状態になった酸素で、普通の酸素より化学反応を起こしやすく、細胞破壊や発がん、老化などに関与しているとされる。だが、直接検出することが難しく、確証は得られていない。
葛西宏・産業医大教授(前国立がんセンター室長)らは、活性酸素によってデオキシリボ核酸(DNA)の塩基の1つグアニンに傷がつくと、「8-ヒドロキシグアニン」に変化することに注目。
8-ヒドロキシグアニン弓の量を測定することで、間接的に活性酸素量を推定した。
肝臓の手術を受けた患者から、肝臓組織を採取し、肝細胞中の8-ヒドロキシグアニン量を比較した。
その結果、慢性肝炎の細胞からは、健康な組織の約2倍の8-ヒドロキシグアニンが見つかった。
一万、葛西教授によると、8-ヒドロキシグア ニンはDNAにある種の突然変異を起こすことが知られている。
この変異のタイプは、肝臓がんの組織の中で見つかるがん抑制遺伝子「P53」の変異と同じものだという。
そこで、8-ヒドロキシ グアニンがP53に突然変異を引き起こし、がん発生の引き金になっていると考えられるという。