がんの誤診で精神的ストレス
がんの診断は正しいのか。病院で食い違う異なる診断結果 朝日新聞(98-03-13)から引用
良性の腫瘍だったのに悪性にがんと告知されて治療を受けたために、労働能力を喪失したとして、札幌市内の女性(44)が医師や医師が勤めていた病院に約8300万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が13日、札幌地裁であった。
- 誤診による精神的なストレスが認められ、損害が賠償が認められた
- 小林正裁判長は診断が誤りだったと認め、医師や病院に連帯して計約1137万円を支払うよう命じた。
小林裁判長は「人は、余命幾ばくもないという重圧のもとでは労働に努めることは期待できない。
しかし、がんでないことが明らかになった後は、長くとも1年以内に通常の生活に戻れるはずだ」として、女性が告知から一定期間、精神的なショックを受けたために働けなくなった分の損害を認めた。
- 病院で、肝がんと診断され、予後不良と宣告、抗がん剤の服用を続けた
- (中略)判決によると、女性は1991年9月、札幌市内の病院で、診断した医師から「肝臓に、がんがある。延命や改善は、あまり期待できない。一概にはいえないが、1年半から2年は生きられる」と告知され、同病院や医師の転勤先の個人病院で抗がん剤による治療を受け続けた。
- 別の病院では、良性腫瘍といわれた
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ところが、札幌市内の別の病院で診断を受けたところ、94年1月に良性の腫瘍と判明した。
判決は、女性の現在の症状を、断続的に全身の痛みやめまいなどが続いていると認定。
その原因を、女性が主張していたような抗がん剤の副作用ではなく「がん告知によって受けた心因性の障害」と判断した。
医師側は「悪性腫瘍を前提とする治療方法を選択したことには合理的な理由があり、診断や治療行為に過失はない」などと反論していたが、判決は「悪性かどうかを診断するために通常要求される検査を怠り、安易に誤診した過失がある」として、医師側の主張を退けた。(後略)
※編者コメント:この症例では、最初の病院で、不十分な検査の結果、肝がんと誤診され、抗がん剤の投与されていました。ところが、次の病院で良性腫瘍の診断を受けたわけですが、もし最初の病院で手術にでもなっていたらと思うと、ぞっとします。乳がんでも誤診の記事がありますが、誤診で手術や投薬された患者はたまったものではありません。