喘息の吸入治療製剤で副作用死
フェノテロール製剤の過剰投与で、7人死亡?朝日新聞(98-05-20)から引用
喘息の発作を治めるために使う吸入用臭化水素酸フェノテロール製剤(販売名・ベロテックエロゾル)の過剰投与による副作用で、1990年から96年の7年間に7人の患者が死亡していた疑いが強まり、厚生省は19日、輸入販売会社の日本ベーリンガーインゲルハイム(兵庫県川西市)に対し、緊急安全性情報を医療機関に配布するよう指示した。
- 喘息発作による死亡123人のうち、18人に薬物の過剰投与が疑われた
- また厚生省は、この製剤を使用している患者が自分の判断で勝手に使用を止め、かえって喘息の症状を悪化させることがないよう、医師に注意を呼びかける。
この製剤は年間210万本出荷され、喘息の吸入用治療薬の中でのシェアは2割という。
厚生省の研究班が、90年から96年までに喘息の発作により死亡した123人について調べたところ、18人に薬物の過剰投与が疑われ、うち11人が気管支を刺激する吸入剤を服用。
- 副作用の恐れがあるのに、充分な指導がされていない!?
-
そのうち七人がフェノテロール製剤を使用していた。この製剤は、炎症によって狭くなった気管支を広げる効果があると同時に心臓停止や不整脈を誘発するおそれがあることから、医師に対する「使用上の注意」には「用法用量を患者に正しく指導し、経過観察を十分に行うこと」と記載されていた。
しかし研究班の調査では用量の倍近く使用していた例もあった。
- 中央薬事審議会は、薬の危険性を厚生省に伝えていた
-
中央薬事審議会(厚相の諮問機関)は16日に副作用調査会を開いて調査結果について審議し、「フェノテロール製剤と喘息死との因果関係ははっきりしないが、過剰投与を防止するために使用上の注意を厳格に記載すると同時に、緊急安全性情報で医師に注意を呼びかけることが必要だ」と厚生省に伝えていた。