膠原病(代表が関節リウマチ)の概略
膠原病(保健同人社)から引用
関節リウマチを代表とする膠原病は一つの病気ではありません。身体の膠原組織(結合組織)に似たような変化がおこっている病気を集めて、「膠原病」と命名したものです。
これまでは、膠原組織に障害を起こす6つの病気を、膠原病という名称でまとめていましたが、最近では、シューグレン症候群など、他の膠原組織に障害を起こす病気も、膠原病といわれるようになりました。
以下、極めて概略的な内容ですが、膠原病に関する事項をまとめてみました。何かの参考になれば幸いです。
膠原病の種類・原因・共通症状
- 膠原病の種類
- 膠原病は以下の種類がありますが、いずれも治りにくい慢性の病気で、全身を侵し、ときに命を落とすこともあります。
この中で、関節リウマチやリウマチ熱は、比較的多い病気ですが、その他のものは、はるかに少ない病気です。
- 関節リウマチ(比較的多い)
- リウマチ熱
- 全身性エリテマトーデス(全国に約9000人)
- 全身性強皮症(全国に約1000人)
- 皮膚筋炎
- 結節性動脈周囲炎(ごく稀)
- 膠原病の原因
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膠原病は、臓器と臓器を結びつける結合組織に、ある種の変性が認められる病態に対して付けられた名称で、原因は不明ですが、患者には自己免疫異常注1があること、また、この病気に罹かりやすい体質注2があります。
注1.自己免疫異常:自家アレルギーともいわれ、免疫の異常によるものです。原因は次のように考えられています。
- 抗体を作る細胞が、自分の体に本来あるものと、外部からの異物とを見極める能力を失っている可能性が考えられます。
- また、紫外線、高熱、細菌毒素(が出す活性酸素:編者挿入)により、本来の体の構成が多少変質して異種となり、それに対する抗体が作られ、その抗体は、変質した構造物と構造が似ている変質していない構造物を区別できず、変質していない方にも働き障害を起こす、ことも考えられます。
注2.罹かりやすい体質:膠原病の体質は、本人、両親、兄弟など血縁の家族がアレルギー病やリウマチ、膠原病などにかかったことがあることでわかります。このような体質のある方は充分注意しなけれはなりません。
- 膠原病の共通症状
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膠原病という病気には、かなり共通の症状はがありますから、これを知っておくことが必要でしょう。
- まず熱が出ます:いろいろな原因で熱が出ますが、原因不明の熱が出るときには、膠原病を頭におく必要があります。
- よく関節の痛みがおこります:いろいろな原因の関節炎ありますが、多くの関節が同時に痛くなるときに、原因として膠原病ではないかと考えることが必要です。
- 紅斑ができます:膠原病の紅斑は、かゆくも痛くもないのが特徴です。かゆみがひどい紅斑は、膠原病ではありません
- レイノー症状:膠原病になる前兆として注意すべき症状で、四肢、手指を冷水に入れると白くなり、出すとまず紫赤色になり、もとの皮膚の色にもどる現象です。これは全身性強皮症にもっとも多く、つぎに全身性エリテマトーデス、関節リウマチにみられます。
各々の膠原病の特徴
膠原病の診断は専門医でも困難なので、このサイトで述べることは不可能ですし、また、素人判断では、いたずらに慢性化し、治療の機会を逸してしまいます。
前述の共通症状や下記の特徴的な所見が認められれば、即刻、医師の精査をお薦めします。
- 関節リウマチ
- 30~40歳の女性に多く認められ、急性リウマチの反復罹患で慢性の経過をたどります。四肢末端の小関節(指、手、肘、膝、足)を多発性に対照的に侵します。
症状は、関節の朝のこわばり、疼痛、腫脹、関節変形、関節軟骨破壊、骨性癒着、皮下結節などを認め、進行して大関節を障害し心障害を伴うことがあります。
- リウマチ熱
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30歳までの女性に発生頻度が高く、自己免疫異常と考えられています。感冒、寒冷、湿潤が誘因となります。
症状は、心筋炎(頻脈、不整脈、呼吸困難、浮腫)、移動性多発性関節炎、四肢の近位部に輪状紅斑、皮下小結節などを認めます。
- 全身性エリテマトーデス(紅斑性狼瘡)
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女性が多く(90%)、発病年齢は20~40歳に多く、主婦の病気といえます。症状は、全身の衰弱が起こり関節が痛みますが、変形や運動障害は認めません。
特徴は、蝶形紅斑(顔に蝶々の形をした紅斑-右図は少し正確ではありませんが)が現れることです。手や足、胸にも紅斑ができますが、痛くもかゆくもありません。
全身性ユリテマトーデスでは、さらに全身の内臓がおかされます。その中で顕著なのは腎臓で、腎臓の働きが悪くなり、ついに尿毒症で死亡することがあります。
- 全身性強皮症
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女性が90%、年齢は30~50歳に多い。症状は、手足の皮膚が厚く硬くなり、運動が不自由になります。
ときに指先に潰瘍を認めます。顔の皮膚も変性し、口が開けず、会話や食事が困難になります。内臓では食道・胃腸などの消化管や肺が硬化し、長期化で寝たきりになります。
- 皮膚筋炎
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女性2に対して男性1の割合です。小児より老人までの全年齢層にみられます。皮膚と筋肉の両方をおかす膠原病です。
症状は、筋力の低下です。下半身の初発では椅子やトイレでの立ち上がり、階段を昇ることが不自由になります。
額には紅斑がみられますが、全身性エリテマトーデスと異なるのは色が赤いだけでなく、少し紫色がかっていることです。また、心臓や肺にも病変を生じます。
ときに悪性腫瘍を合併しています。
- 結節性動脈周囲炎
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膠原病のなかでもっとも重い病気です。症状は、全身の動脈に炎症をおこし、心臓、腎臓、脳神経、胃腸、肝臓などにいろいろの病変を呈します。
この病気を早期に診断することは非常に難しく、治療も困難で、結局、命を落とすことが多いようです。