スポーツは体の免疫力を落として、万病のもとになる!
加藤邦彦・東京大学大学院理学系助手:日刊ゲンダイ(94-06-24)から引用
これまで「スポーツは健康を増進し、体にいい」というのが常識だった。ところが最近の研究では全く別の結論が出ている。
「スポーツは体の免疫力を落として万病のもとになる」というのだ。とすれば、どうすればいいのだろうか?
スポ-ツが活性酸素を発生する!?
- スポーツで、呼吸した酸素が毒化して、活性酸素に変化する!
- スポーツはなぜ体に悪いのか。それは、われわれの生存に欠かせない酸素が体内で毒化されるからだと、東京大学理学部の加藤邦彦助手は指摘する。
「酸素を吸うと、攻撃性の強い活性酸素が、消費する酸素の2%は生じます。
この活性酸素の発生量が体の中で増えると、細胞膜や遺伝子、重要な物質を作る酵素などを傷つけて、糖尿病や脳卒中、心筋梗塞、がんなど、さまざまな成人病の発生に関係することになるのです。
その結果、体内の組織を痛めつけて、病気にかかりやすくなるのですね。」
- 活性酸素は不安定で人の遺伝子も傷害される!
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活性酸素とは、電子的に非常に不安定で反応しやすくなった酸素分子のこと。不安定なために、ほかの物質と結びつこうとして、その物質の細胞膜やDNA(遺伝子)を傷つけてしまうのだ。
酸素を吸って生きている生物にとって、活性酸素の発生は避けられぬ宿命ではあるのだが、これに対して生体にも防御機能が備わってている。
- 活性酸素の害を防ぐSODの活動力は年齢により低下!
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「その1つがSOD(スーパーオキシドディスムス)などの酵素による無毒化作用。
しかし、ジョギングなどの激しいスポーツで生じる活性酸素量は、SODなどの処理能力を上回ってしまいます。
また、SODの反応自体、40代以降になると徐々に低下してしまうのです。」(加藤邦彦助手=前出)
※編者コメント:それ故、40代以降では、SODを補う必要があるのです。
スポ-ツ自体が免疫機能低下のもと
- スポーツはストレスになり、免疫機能が低下し、細胞ががん化する
- この活性酸素に加えて、スポーツは、それ自体がストレスになる。そのために免疫機能が低下して、たとえば細胞のがん化を短期間に進行させてしまいます。
- スポーツはによる突然死は意外に多い!
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それでなくても急激に心臓に負担をかけることで突然死するケースも。中高年の人で、スポーツをすれは健康で長生きができると思いこんでいる人は多いでしょうが、考え直すべきでしょうね。」(加藤邦彦助手=前出)
現実にスポーツ中の突然死は、意外に多い。日本心臓財団の資料では、ランニング、ゴルフ、水泳の三種目で、運動中の突然死の約半数を占める(図参照)。
- ウォーキングはうっすらと汗をかく程度
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しかし、活性酸素やスポーツストレスが怖いからといって、なにもしない方がいいというわけでもない。
「うっすらと汗をかく程度のウオーキング」にとどめるなら、体の活性度は高まります。
ただし、血圧や血糖値が低い早朝の運動は逆効果。午後でも早めの1~3時くらいに歩くのが効果的ですね。(加藤邦彦助 手=前出)
体に負担になる運動で、 健康になることはできない。